前回は、ピッチャーの投球動作のフェーズ毎に傷害リスクが介在するということを誰でも簡単に理解できるように解説しましたが、今回は、もう一歩進めて「ケガ予防・対策として何を考え、行なうべきか」というテーマについて考えます。ダルビッシュ有選手の執刀を担当したことでも知られるジェームズ・アンドリューズ博士が示すピッチャーのリスクファクターを引用し、詳細を説明します。

前回に引き続き、野球の指導者・選手にぜひ読んで欲しい記事です。

このPitch Smartは、野球の指導者・ピッチャーにとって、一つのガイドラインにもなります。

この中から、ピッチャーが投球によって引き起こす傷害の根拠ある危険因子(Risk Factors)をそのままの形で引用し、列記します。これは肩や肘を怪我する原因を分析し、予防を推進する素晴らしいウェブサイトだと思います。

また、これらはダルビッシュ有選手の執刀を担当したことでも知られる整形外科の分野で超有名なドクター、ジェームズ・アンドリューズ博士による素晴らしい見解です。

ぜひ、ご一読ください!!

(以下、全て http://m.mlb.com/pitchsmart/risk-factors/ より引用。)

Pitch Smart:Risk Factors 

Risk Factor 1. 疲労しながらのピッチング

試合、シーズン、年間を通して、疲労の兆候を注意して見るべきです。ASMIによれば、肘や肩の手術を受ける思春期のピッチャーは、日常的に腕の疲労を感じたまま投球している可能性が36倍に達します。

Risk Factor 2. 一年間にわたり、あまりに多くのイニングを投げること

ASMIによれば、年間100イニング以上投げるピッチャーは、そうでないピッチャーよりも3.5倍ケガするリスクがあります。試合中のイニングやショーケース(簡単に言えばオーディション)に関わらず、100イニングという(ケガのリスクが増える)限界値に向けてカウントするべきです。

(*年齢によるガイドラインあり。次回以降の連載で記載予定。)

Risk Factor 3. 毎年野球から離れた十分な休息を取らないこと

ASMIによれば、年間8ヶ月以上競った(投げ続けた) ピッチャーは手術を必要とする傷害になるリスクが5倍高い。ピッチャーは少なくとも年間で2〜3ヶ月間は投げないようするべきであり、少なくとも年間4ヶ月間は試合での投球を避けるべきである。

Risk Factor 4. あまりに多く投球しすぎて、十分な休息を取れていない状態

毎日、毎週、年間を通してオーバーユースすることは、若いピッチャーの健康にとって最大のリスクです。非常に多くの研究が、一試合で多く投げるピッチャーや登板期間で適切に休めていないピッチャー(=ローテーションを指していると思います。)はケガのリスクが上昇するということを示しています。

医学的な研究が適正な投球数を特定していない一方で、投球数の問題がリトルリーグにおいて50%以上も肩の傷害のリスクを減らすということを示しています。もっとも重要なことは、ピッチャーのために球数の制限を設けて、シーズン通して、それをしっかりと守ることです。

(*上記同様、年齢によるガイドラインあり。次回以降の連載で記載予定。)

Risk Factor 5. 連日のピッチング

ピッチャーは、もし可能なら、投球数に関わらず、連日の投球を避けるべきである。ある研究者によれば、連日の投球をしているピッチャーは、していないピッチャーと比べて、腕の痛みを経験するリスクが2.5倍以上大きくなると言われています。

Risk Factor 6. ピッチング以外の投げ過ぎ

ピッチャーは自分のチームのためにキャッチャーを守るべきではありません。なぜなら、キャッチャーはピッチャーの次に投げることに集中するポジションであり、結果的に他のポジションよりも、はるかに多く投げることになります。

ASMIは、ピッチャーをしない時にキャッチャーを守るアマチュアの選手は、主要な腕の傷害を経験するリスクが2.7倍になることを見出しています。

Risk Factor 7. 同時に複数のチームでプレイ(投球)すること

同時に複数のチームに参加する選手は、投球制限の監視がより難しくなり、結果的に休養を減らすことになるので、傷害リスクを増やすことになってしまいます。

Risk Factor 8. 他の身体の部位を伴ったピッチング

選手たちはどんな怪我の後でも、プレイに復帰するのに慎重になるべきである。足首の捻挫や腹斜筋の痛みは、選手の投げ方の変化や腕によりストレスを与えてしまい、選手が気付かないほどにバイオメカニクスへ影響を与える可能性があります。(ここで言うバイオメカニクスは、傷害という観点から、投球フォームが崩れてしまうこととに重点を置いていると思われます。)

(*これは非常に大切な見解ですので、次回以降の連載で記載予定)

Risk Factor 9. 適切なストレングス&コンディショニングの手順に従わないこと

よく見落とされがちですが、どのようなストレングス&コンディショニングプログラムでも、肩や肘のプログラムを含めるべきである。多くの研究が、上肢の強さと可動性の欠如が深刻な腕の傷害に強く相関しているということを示しています。

Risk Factor 10. ショーケースで安全な練習に則していないこと

ショーケースは、若い選手たちが大学のコーチやプロのスカウトに自分の技術を示すことができる素晴らしい機会です。しかしながら、オフシーズン中にあるショーケースでの投球は、健康的な試合のコンディションに戻ることを困難にしてしまい、オフシーズンの十分な(身体の)休息を取ることを困難にしてしまうので、特に危険な可能性が高いです。ピッチャーは、日毎、週毎、年毎の投球制限数のために如何なる試合だろうと、出場としてみなすべきです。さらに、彼らは良い印象を与えようとして、投げ過ぎてしまうという衝動を避けるべきです。

Risk Factor 11. 若い時にカーブやスライダーを投げること

既存の研究では、カーブを投げることと傷害との間には一貫した強い相関性は示されていないが、ヤン氏らの研究によれば、カーブを投げるアマチュアのピッチャーは腕の痛みを経験する可能性が1.6倍高いことが分かっており、ライマン氏らによれば、スライダーを投げる若いピッチャーは(スライダーを)投げないピッチャーよりも肘の痛みを経験するリスクが86%高いと分かっている。

Risk Factor 12. スピードガンの使用

スピードガンが若年のピッチャーに直接傷害を引き起こすのではありませんが、それらがピッチャーにもっと速いボールを投げようという刺激を与えます。他の人に自分を印象づけようとして、たいていが自分たちの通常の適正なレベルを超えてしまいます。これが腕に付加的な歪みをつくり出してしまうかもしれません。

まとめ

上記のリスク要因1.〜12.を見ると、ピッチャーの傷害予防は以下の4点に大きくグループが絞られてきます。

1. 投げ過ぎを防ぐこと。(1.〜7.及び10.)

2. カーブとスライダーを少年期に投げさせないこと。(11.)

(2012年の研究で、14歳までカーブを、16歳までスライダーは避けるべきだと述べられている論文があります。)

3. 適正な肘と肩のトレーニングを行うこと。(9.)

4. ピッチングフォームの崩れを防ぐこと。(8.と一部10.及び12.)

このRisk Factorを知っているだけで、多くのピッチャーを救えるとおもいます。

ぜひ、明日からの試合や練習に役立ててください!!次回もお楽しみに!!

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