パフォーマンス向上を突き詰めるとある事実が見えてきます。それは身体の構造には機能的な特性があり、また安定していなければ可動域の確保や効率的なパワー伝達が阻害されてしまうということ。ジョイント・バイ・ジョイントアプローチと言われる理論ですがフィジカルトレーニングを志すならば知っておきたいポイントです。
最高のパフォーマンスを発揮しつつ怪我のリスクの少ない強い身体を手に入れるために、アスリートはトレーニングをします。そのトレーニングの手助けやコーチングをするのがストレングスコーチ、アスレチックトレーナー、パーソナルトレーナー等といったトレーニングのスペシャリスト達です。
それぞれのトレーナーには各々の哲学があり、その哲学や信念の元でトレーニングを組み立ててアスリートの育成の手助けをしますが、そこで一つ土台となるコンセプトをご紹介したいと思います。
ジョイント・バイ・ジョイントアプローチ(Joint by Joint Approach)とは?
ジョイント・バイ・ジョイントアプローチです。一言で言うと“身体の安定させるべき部分が安定していないと必要な可動域も出ないし力もうまく伝わりませんよ” という事です。Gray CookというFunctional Movement Screen を創り出した有名な理学療法士が提唱するセオリーです。これは後々運動連鎖にも大きく関わってきます。
ジョイント・バイ・ジョイントアプローチはCNC MAGでも以前、取り上げていますので、こちらもあわせて参考いただけると理解が深まると思います。
参考記事1:運動連鎖強化の重要ポイント – 連動を妨げる要因を見極め除去しよう
参考記事2:トップアスリートは知っている – 各部位の安定性と可動性のバランスの重要性
身体が安定しなければ可動域やパワーの効率が悪くなる
ここで重要なのは身体が“安定”しないと可動域も出ないし出力も効率が悪くなるということです。解剖学を勉強すると、構造上どの関節がどういう動きをするべきかというのが理解出来てきます。
例えば腰椎はあまり捻るように出来ていない構造であるという事を知っているか、いないかではトレーニングに対するアプローチは大きく変わってしまいますし、肩関節のどのポジションで内旋or外旋の状態を作ってあげると肩関節が安定するのか、等。その他にも身体のパーツは数多くあるのでそれらの関節が解剖学/バイオメカニクス的に安定する“位置”を知っていなければなりません。
パフォーマンス向上には、関節が安定する方向を理解しておくこと
腸骨大腿靭帯を例にとってみます。以下の画像のような構造をしています。雑巾を絞ったように捻れていて、骨盤と大腿骨を繋いでいます。
ですので股関節を伸展させた時は同時に内旋すると、腸骨大腿靭帯が捻れ、大腿骨頭が寛骨臼から抜けないようにサポートします。
このように、関節には安定する方向とういものがあります。動くべき部位、動いてはいけない部位は身体構造を3Dで想像することができればわかってきます。体軸はこれらがより安定したときに形成されると考えられます。ぶれずに力強くスムーズな動きで効率の良いパフォーマンスを発揮するためには、関節の構造を理解している必要があるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
- 身体の構造には機能的な特性があり、安定する方法がある
- 安定している状態が最も怪我をしにくい状態である
- 安定している時がパフォーマンスを引き出しやすい身体のポジションである
パフォーマンス向上を目的としたトレーニングを行う上で、アスリートはもちろん、トレーナーの方々は是非とも理解しておきたい大切なポイントです。
“Anthony Rizzo 2012” by bengrey on Flickr (Original version)UCinternational (Crop) – Originally posted to Flickr as “Anthony Rizzo“Cropped by UCinternational. Licensed under CC BY-SA 2.0 via Commons.