近年注目を浴びてきているフィジカルトレーニング。サッカーにおいて、フィジカルで劣る海外のチームに対しては、組織力で勝つサッカーを行ってきましたが、世界の上のレベルで戦うにはフィジカルが必要不可欠ということが再認識されてきています。フィジカルトレーニングを行う上で、サッカーにはどの力が必要とされているのかを解説します。

前回、フィジカルトレーニングとは何か?という内容で執筆させて頂きました。

今回からサッカーにフォーカスしてフィジカルトレーニングを掘り下げていきます。サッカー固有の競技特性を考慮し、有能なサッカー選手になるために必要なフィジカル要素は何か?から考えていきます。

フィジカルトレーニングがますます重要になるサッカー

以前、「フィジカルトレーニング改造計画」でもフィジカルトレーニングの重要性を述べましたが、実際にフィジカルトレーニングに取り組むサッカー選手がプロ・アマ問わず、近年増えてきていますね。昔に比べ、海外で活躍する選手が増えたこと、さらにサッカー人口が多いことを背景に、国際試合や海外移籍が身近になってきました。そのため、上のレベルでプレーする為にはフィジカルが必要だと選手自身が感じとっています。

海外を目指す上ではもはや当たり前ですが、Jリーグで活躍するためにもフィジカルは重要です。早い段階からプロになることを意識するなら競技力と同様にフィジカルの重要性を認識し、取り組んでいくべきです。

チーム力も大事だが、やはり個のフィジカルの強さは否定できない

サッカー男子日本代表のハリルホジッチ監督もフィジカルの必要性を提言していました。私自身もアメリカでサッカーをしていた時、フィジカルの差を大きく感じました。昔から日本ではフィジカルで劣る分、チーム力でそれを補って戦っていこうという考え方がありますが、対戦相手のレベルが上がれば上がる程、チーム力以外の物も必要になってきます。

勝負を決する得点シーンの間際には、ほとんどの場合で1対1の場面あり、ここのせめぎ合いを制するか否かで勝敗が分かれるのです。更に上のレベルで勝つ為にはチーム全体の成長が必要であり、その為には個々の成長が必要。そして個々の成長の為にはフィジカルトレーニングが必要なってくるのです。

また、海外でトップを目指すには、サッカーチームとして必要とされるフィジカルの能力は大前提になり、その上で個人の強みが試されていることに気づかないといけません。向こうに行ってからフィジカルの差を感じるようでは遅いのです。

サッカーの競技特性上、バランスの良い身体能力と走力が求められる

サッカーに一番大事だと言える基本的な能力は、「走力(筋持久力)」と「瞬発力(敏捷性)」、それに伴う「回復力」です。長距離的と短距離的な身体能力をバランスよく兼ね備えている選手が多いという特徴がサッカーにはあります。

それはサッカーのルールからも理解できます。交代が自由であったり、頻繁に時計が止まったりする他の球技とは違い、サッカーは短距離の運動を長時間繰り返し行う力が必要とされる為です。ポジションに差はありますが、プロ選手は1試合90分の中で平均約10〜12Km走っていると言われており、その中で数歩~30mくらいの距離のダッシュを繰り返し行います。長友選手が1試合あたりの走破距離が話題になりましたが、プロの移籍市場では選手の走力はデータとして見られており、選手としての価値を判断されている材料なのです。

そして、この運動量の中で高いパフォーマンスを発揮し続ける為に、動きながら疲労を回復させる能力も同時に必要になってきます。どんなにうまい選手でも、1試合走りきれない選手は上のレベルの試合では使ってもらえません。

その上で個性・強みを伸ばせ

一芸に秀でた選手等も重宝される現代のサッカーですが、その選手たちも全体的なレベルが低いわけではなく、基礎となる土台は標準より高いレベルにあるのです。ここは勘違いしてはいけない点です。

従って、身体能力に関しては、チームの中で「走力」・「瞬発力」・「回復力」の土台を作り、その上に個々の選手の能力や特徴に合わせたトレーニングを行って、秀でた能力を身に付けることが大事になります。

次回は、サッカーに必要なフィジカルトレーニングを一歩掘り下げます。チーム・個人それぞれでやるべきトレーニングを分けてご紹介していきます。

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水川 敏宏
アメリカのカルフォルニア州立大学ノースリッジ校卒業。 専門はストレングス・コンディショニング。サッカーをはじめ、多種目のスポーツ選手の怪我予防・リハビリ・トレーニング指導を行っている。トップアスリートだけでなく、老若男女、人種問わず、全ての人々を対象に幅広く活動。トレーナーの知識や技術はプロだけでなく、全ての人が受けることのできる恩恵である。怪我をしたがどうすればいいのか分からない。何のトレーニングをどう行えばいいのか分からない。どの情報を信じていいのか分からない。そんな“分からない”を失くす為、Change the Value of Sportsを信念に、株式会社CORE ‘N CODEでスポーツの浸透と普及を目標に日々精進中。STROOPS FUNCTIONAL PERFORMANCE TRAINER.