指揮官であるならば、チーム全体のモチベーションを高めることに関心があると思います。しかし、叱咤激励は選手のタイプに応じて行うことが効果的であることがわかっています。アメリカのプロバスケットリーグでヘッドストレングスコーチとして活躍した今田トレーナーが解説します。

あなたが、監督、またはチームを指導するコーチ、もしくはプレイヤーながら、チームを試合の中で引っ張るキャプテンであれ、選手やチームのモチベーションを高めることに関心があると思います。

実はモチベーションのコントロールは、選手のタイプに応じて変えなければいけません。有能な指揮官は必ずといってほど、選手のモチベーションを高めることに長けています。今日はそんなモチベーションについて解説します。

モチベーションとは”やる気”とは違う

アスリートがトップレベルに辿り着くまでに必ずと言っていいほど立ちはだかるモチベーションの壁。常にシビアな世界でハードにトレーニングをしているとモチベーションを維持していくのは至難の業です。それでもモチベーションを保ち、努力に努力を重ねるアスリートこそが頂上へと行けるのですが、それは並大抵のことではありません。

しかし、逆を返せばモチベーションさえあれば登りつめる事も可能。そしてこのモチベーションこそが実はスキルだったりもするのです。ただし、ここでいうモチベーションは一般的に浸透している“やる気”とは少し違います。

モチベーションとは“態度”や“行動”を変える事の出来る能力とメンタルトレーニングでは定義しています。監督やトレーニングコーチ、キャプテン等の人を指導したりリーダーシップを取る立場の方には非常に重要なスキルです。

リーダーがモチベーションによってコントロールしたい3つの要素

モチベーションは行動や態度を変える能力と定義しました。

もしアスリートの行動や態度を変えるとしたら何を変えたいかを具体的にしなければなりません。一般的には以下の3つの要素を変化させたいとコーチや監督は思うはずです。

  1. 行動/態度の量
    例:沢山走らせたい、もっと練習をしてもらいたい、有酸素運動をもっと取り入れさせたい

  2. 例:フリースローの確率を上げる、サーブの確率を上げる、もっと速い球を投げる
  3. フォーカス(集中、焦点)
    例:ディフェンスにより集中してほしい、ヒットを打つよりもホームラン、オン/オフの切り替え

モチベーションの源を知らなければならない

モチベーションには源があり、それを知るだけでもどのようにアスリートにモチベーションをもたせたらいいかに大きな変化が出てきます。

Intrinsic Motivation

Intrinsic Motivationとは内発的動機づけともいい、アスリート本人の内から湧き上がる行動へ対する動機です。単純に好きだからする、楽しいからするとういのが最もわかりやすい例です。

Extrinsic Motivation

それに対し、Extrinsic Motivation(外発的動機づけ)を源として行動しているアスリートは、外からの刺激を受けて行動するタイプで、報酬を得たり応援されたりするとやる気を出すのがこのタイプです。

Intrinsic Motivation vs. Extrinsic Motivation

注意しないといけないのは、Intrinsicタイプのアスリートに対して外的報酬を与えてしまうとモチベーションが下がるという事です。また、Intrinsicタイプのアスリートは競争して勝つとモチベーションが上がる傾向がありますが、競争の中で負けてしまうと逆にモチベーションが下がってしまうタイプでもあるので配慮が必要です。

そう聞くとIntrinsic Motivationタイプは良くないのかな?と思ってしまいますが実は成功しやすいのはIntrinsicタイプでもあります。

Reinforcement Principles:外的報酬の原理

モチベーションを維持、またはアップさせるにはアスリートに外的報酬を与える必要がありますが、タイプによって報酬の種類も適切に選ぶ必要があります。Intrinsicタイプには下手に外的報酬を与えてしまうと逆にモチベーションを下げる結果になってしまいますし、Extrinsicタイプには報酬を与えないと全くモチベーションがなくなってしまう事さえあります。

自分の指導するアスリートがどちらのタイプのアスリートであるかをしっかりと見極める事が大切です。しかし、このように心理学的にタイプ別にして与える報酬を理論的に勉強したとしても、人の心は理論通りにいかないこともあります。

スキルとして原理や方法を習得しながら、あとは個人の経験に委ねられる部分が大きくなってくるのも事実です。監督やトレーニングコーチとして、アスリートのモチベーションを維持、アップさせるために何が必要かを一度考えなおしてみてください。スキルは身につけられます。


Image Credit: “Phil Jackson coaching LAL” by Bridget Samuels from College Park, MD – DSC02201Uploaded by JoeJohnson2. Licensed under CC BY 2.0 via Commons.

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