疲労骨折はアスリートの勲章?とんでもない。それはトレーニングの負荷と栄養面摂取のミスマッチであり、あなたのトレーニング計画の失敗に他なりません。大会へ向けトレーニングの負荷をあげていくなら、あわせて疲労骨折の原因を知り事前に対策をとりましょう。

今回はアスリートにつきまとう骨についてのリスクヘッジを考えていきます。筋肉などと比べて骨へのダメージは簡単に回復せず、骨折状態になると完全に回復するまで長い時間がかかる上、重度の場合後遺症の恐れもあります。強い骨を作ることで事前に故障を予防する事が重要であることは言うまでもないでしょう。

骨にも代謝があるのを知っておこう!

体が代謝を繰り返しているように、骨も日々生まれ変わりが活発に行われており、これを骨代謝「リモデリング」と呼びます。

骨吸収と骨形成

運動をして体を酷使すると、まず「骨吸収」と呼ばれる、劣化した骨を溶かすことから始まります。その後、新たに骨を作ろうと働く「骨形成」が始まります。このように骨は骨吸収→骨形成を何度も繰り返して(骨代謝回転と言います)成長し入れ替わっていくのです。

骨はカルシウムの貯蔵庫でもある

また、骨は体内におけるカルシウムの貯蔵庫としての役割を持ちます。

カルシウムは血液中にも存在し、筋肉の収縮・神経の興奮・ホルモン分泌や酵素活性などと驚くほど多様な働きをします。カルシウムがなければ心臓も脳も筋肉も動きません。血中のカルシウム濃度が低下した場合、骨吸収が行われます。破骨細胞により骨を融解する事でカルシウムを血中へと放出し、血中のカルシウム濃度を高めます。

アスリートに多い疲労骨折とは?

疲労骨折はハードな運動によって引き起こされる為、アスリートにとっては常に意識しておかなければならない症状です。とりわけジュニア・女性アスリートに多く見られ、加えて女性アスリートにとっては三特徴の一つにも数えられるほど身近な問題です。

そんな疲労骨折が引き起こされる要因とはなんなのでしょうか?

1. 汗によるカルシウムの損失・不足

「ミネラル不足がアスリートに及ぼす悪影響」の記事で詳細を紹介していますが、ミネラルは汗と共に体外に流出し、夏場の多いときでは牛乳で瓶一本相当(200ml)ものカルシウムが失われる場合もあります。

2. 偏食による栄養不足

骨というとカルシウムなイメージが強いですが、骨に欠かせない栄養素はカルシウムだけではありません。タンパク質やビタミンB12、葉酸、ビタミンK、ビタミンDなどと色々と必要になります。カルシウムだけ摂取していても、骨への沈着が上手く行われない、骨密度が上昇しても骨質が良くない等の問題が発生してしまいます。

また、加工食品に添加物として使用されるリン酸塩はミネラルの吸収を阻害する働きがあります。なるべく避ける事が望ましいでしょう。

3. Low energy availability(利用可能エネルギー不足)

Low energy availabilityとは運動によるエネルギー消費量に対して、食事などによるエネルギー摂取量が不足した状態をさします。食事制限や成長期に十分な食事量が摂取できないケースに多く見られます。

ジュニアアスリートの場合、成長期の為、骨成長が著しく骨代謝回転が高くなっています。運動をしている場合はその回転がさらに速くなります。当然、骨形成の際には骨づくりに欠かせない栄養素の摂取が必要となり、食事が十分でないと確実な骨形成ができなくなる場合があります。

女性アスリートの場合、骨代謝が上手く行われないのに加えて、ホルモンバランスが崩れ無月経となってしまう事による悪影響も懸念されます。無月経により骨吸収を抑えるエストロゲンが低い状態に陥ります。骨吸収により骨の融解が進むのに反し、新しい骨の形成が追いつかないうえ、腸からのカルシウム吸収量も減ってしまうのです。

強い骨を形成させるために重要な骨の質は?

如何でしたでしょうか?

運動による発汗や偏食、食事制限により骨密度や骨質の低下が引き起こされてしまいます。次回は丈夫な骨を作る為に重要なポイントである骨密度、骨質についてご紹介します。

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