メンタルスキルトレーニングは、3つのフェーズを通して行いますが、これらのトレーニングは何もアスリートだけを対象としたものではありません。今回は、3つのプロセスとメンタルスキルトレーニングの提供範囲について解説します。
アスリートのパフォーマンスに大きく影響するメンタル。
成功を収めているアスリート達は屈強なメンタルを持っています。しかし、メンタルはスキルですので、トレーニング次第では強いメンタルを手に入れる事が出来ることは何度かお話ししていますね。
勝負どころで強い選手になりたくありませんか??そんなメンタルを会得するためのメンタルスキルトレーニングには3つのフェーズがあります。
1. 教育フェーズ
メンタルスキルの“存在”というものを認識する。このフェーズではアスリートのメンタルがどのような状態にあるのかを自己認識してもらいます。メンタル的に安定していい状態なのか、注意が必要なのか、それとも今すぐ助けが必要なのかを明確にして行きます。
個々が何が得意で何が苦手かを洗い出す必要があるでしょう。この時点でアスリートの強みと弱みをしっかりと振り分け、強みを伸す or どの弱みを克服すれば良いのかを判断して行きます。
自信が必要なのか?緊張しないようにするのか?不安はどこから来ているのか?などといった事を明らかにしていきます。
2. 習得フェーズ
メンタルテクニックや様々な心理的スキルを身につけていきます。
個々の必要性に応じて、プログラムを作成していき、プログラムの目的をグループ、チーム、及び個人に伝えつつ、練習していきます。特に、アスリート本人達がノート等に記録をつけながらやっていくと進捗具合を把握出来たりフィードバックを与えやすくなりますので、オススメです。
このフェーズでは具体的に瞑想やイメージトレーニング、思考整理等といった事を行っていきます。教育フェーズで解析したアスリートのニーズにあてはめていきます。
3. 実行フェーズ
習得フェーズにて学んだメンタルスキルを実世界へ適用しなければなりません。
実行フェーズでは、練習してきたメンタルスキルが自動的に発揮されるレベルまで来ている事を指します。反復練習を繰り返し、本番で無意識にメンタルスキルが使えるようになったら実行フェーズに辿り着いたと言えます。
実行フェーズではアスリートに本番でメンタルスキルが使えたかを判断してもらいます。さらに、実行に移した結果何か変化が出たかを記録していくといいでしょう。
メンタルスキルを指導者が応用する場とは
このようにメンタルスキルをトレーニングして教えこんで行きますが実際に指導者がそれらを使用する場とはどういう場面でしょうか? いくつか例を挙げてみたいと思います。
- 体育の先生が落ち着きのない子供に対してリラクゼーションを教える
- アスレチックトレーナーがイメージトレーニングでアスリートの怪我への恐怖を克服させる
- パーソナルトレーナーが自信のないクライアント本人の自己価値を高めさせる
- 理学療法士が回復に時間をようするクライアントに適切な目標を定めることでモチベーションをキープする
など。
メンタルスキルトレーニングは様々な場面、指導者、アスリート、クライアントにとって重要な要素です。もっとメンタルの重要性に気づいて少しでもトレーニングの一貫として取り入れるべきだと思うと同時に、指導者やトレーナーには必須の知識だと思います。