アスリートのスポーツ貧血を防ぐためにも理解しておきたい鉄分の摂取。前回ではヘム鉄と非ヘム鉄についてご紹介しました。鉄の吸収のみに着目するとヘム鉄の方が効率的ですが、ヘム鉄にもデメリットは存在します。今回はそんな鉄を効率的に摂取するためのポイントを取り上げていきます。

引き続きスポーツ貧血について取り上げていきます。

ヘム鉄もメリットばかりではない

前回の記事にてヘム鉄は吸収率が高く、非ヘム鉄は吸収率が低いと書きました。「ならば非ヘム鉄ではなく、ヘム鉄をとにかく摂れば良いのではないか?」と考えると方もいらっしゃると思います。しかし、日本人の現在の食事状況では非ヘム鉄を摂取する機会が殆どで、一般に日本人が食事から摂取する鉄の85%以上が吸収率の低い非ヘム鉄であると言われています。

加えてヘム鉄もメリットばかりでは無く、デメリットも存在します。ヘム鉄は動物性食品に含まれている為、ヘム鉄の摂取を意識しすぎると食事バランスが偏ってしまう恐れがあります。ヘム鉄が豊富に含まれるレバー等は、同時に脂溶性ビタミンのビタミンAも豊富に含みます。

水溶性ビタミンと違い脂溶性ビタミンは過剰症に注意する必要があります。ビタミンAの多量摂取は過剰症を引き起こす可能性があり、妊婦の方がビタミンAを多量に摂取すると奇形児が生まれる可能性が高くなるという報告もあります。

結局、理想の鉄摂取方法は何?

ヘム鉄は摂りすぎに気をつけなければならない、かといって非ヘム鉄は吸収率が悪く効率的ではない、ではどのようにすれば良いのでしょうか?

吸収効率の悪い非ヘム鉄ですが、主に植物性の食品に含まれる為、他の栄養素も含め過剰症の心配はほとんどありません。さらに非ヘム鉄は一緒に摂る栄養素次第で吸収効率を上げる事が可能なのです。毎日摂取できる非ヘム鉄の吸収効率を上げる事が理想的な鉄摂取のキーポイントです。

ビタミンCと動物性たんぱく質で非ヘム鉄の吸収率アップ!

非ヘム鉄の吸収率を上げてくれる栄養素は2つ、ビタミンCと動物性たんぱく質です。

ビタミンC

非ヘム鉄は「Fe3+」三価鉄の形で存在していますが、三価鉄はそのままでは吸収が困難です。そこで活躍してくれるのがビタミンCで、ビタミンCは三価鉄を還元し、吸収し易い二価鉄に変化させてくれます。

動物性たんぱく質

動物性たんぱく質には、動物性食品に含まれるヘム鉄が有効に利用されるのを助け、植物性食品に含まれる非ヘム鉄が消化管内で溶解するのを助ける働きがあります。

これの働きはミートファクターと呼ばれていて、牛肉や鶏肉に含まれています。ただし、同じ動物性たんぱく質でも卵や乳製品のたんぱく質にはこの働きは存在しません。

 

如何でしたでしょうか?非ヘム鉄の吸収率を向上させてこまめに摂取し、過剰症に注意しながら適度にヘム鉄の摂取を行う事が鉄摂取の理想といえるでしょう。こうする事で、食事のバランスを崩す事なく、鉄の摂取を効率的に行う事ができます。

次回は鉄の摂取を妨げてしまう栄養素について取り上げていきたいと思います。

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