今回は、アスリートが運動を行う上で最も重要な栄養素である糖質に迫ります。 糖質を知る事で、失敗の無い栄養補給が可能となり、競技時のコンディションアップにも繋がります。

前回は栄養素の大枠について解説させていただきました。運動時に欠かす事のできないエネルギー、エネルギー源の中でも最も使用される「糖質」についてフォーカスして掘り下げていきます。

糖質はアスリートにとって使いやすいエネルギー?

エネルギー源として利用される栄養素は「糖質」「脂質」「たんぱく質」の3つです。それぞれの栄養素が1gあたりに生み出すエネルギー量は以下の通りです。

  • 糖質 4kcal
  • たんぱく質 4kcal
  • 脂質 9kcal

一見すると脂質が少量で多くのエネルギーを生み出すので良い様に見えます。しかし、そう簡単には行きません。栄養素は体内に入るとかなり複雑な消化吸収(代謝)の過程をたどる事になるからです。代謝の過程は栄養素それぞれで異なり、糖質は脂質やたんぱく質に比べ、そのプロセスにおいて早い段階からエネルギー源として使用できるのです。

さらにプロセスが進むにつれて色々なタイミングでエネルギー源になってくれます。それに比べ脂質やたんぱく質はプロセスの中のある段階でしかエネルギー源として使用できないのです。つまり糖質は、即効性と効率に優れるエネルギー源であり、アスリートのエネルギー源の中心なのです。

ただし、糖質をただ補給すればいいというわけではない

上記にて糖質がエネルギー源として優秀だと説明しました。しかし、ただ糖質を補給するという意識ではダメなのです。種類と摂取のタイミングによっては、糖質の補給によりデメリットが発生してしまう場合があります。正しい糖質の補給方法を学ぶ為に、糖質の種類を見ていきましょう。

糖質は大きく3種類に分ける事ができます。
糖質の種類

糖質の摂取は種類に応じたタイミングが重要!

糖質の吸収は、単糖類が最も早く、二糖類、多糖類の順に遅くなっていきます。ここで注意したいポイントがあります。それは、運動前にブドウ糖を多量に摂取する事は止めた方が良いという事です。

その理由は「運動中のスタミナの低下を引き起こす」からです。ブドウ糖を摂ると、血中のブドウ糖濃度が急激に上昇してしまいます。そこで人体はインシュリンというホルモンを分泌して血糖値を普段の状態に戻そうとします。加えて運動中は、エネルギーを必要とする体中の色々な細胞によっても血液の中の糖分が使われていきます。つまり、血糖値を下げようとする力が倍働いてしまうのです。

これによって血糖値が普段の状態よりも低い低血糖の状態になり、お腹が空いたときのエネルギー切れのような現象が起こるのです。

ではどのように補給する事が望ましいのでしょうか?ポイントは以下の通りです。

試合や練習の1〜2時間前はでんぷんを摂る

多糖類であるでんぷんは単糖類であるブドウ糖よりも消化に時間がかかります。ブドウ糖が吸収まで10分程と言われるのに比べて、でんぷんはそのおよそ2時間と言われています。試合や練習前1〜2時間前に摂取すると良いでしょう

速やかなエネルギー補充は果糖を摂る

果糖の代謝経路は特殊で、10%はブドウ糖に変換されますが、90%は果糖のまま吸収され、肝臓でそのまま代謝に使用されます。その為、果糖は殆ど血糖値を上昇させません。

果糖を補給する方法として最適な食品はバナナです。バナナは果糖やブドウ糖以外にも、少糖類のショ糖やオリゴ糖、さらに消化されにくい多糖類の食物繊維やデンプン、難消化性デンプンといった多様な糖質(炭水化物)が含まれています。運動開始前にバナナを摂ることで単糖類から速やかにエネルギーを補充でき、運動中も少糖類や多糖類からエネルギーが供給されるというわけです。

如何でしたでしょうか?糖質を補給する際にはの主食(でんぷん主体)、若しくは果物で摂る事を意識する事で効率的なエネルギー補給が可能となり、競技時のコンディションアップに繋がるでしょう。

次回はたんぱく質についてです。ご期待ください!

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